アハブは、イスラエルの歴史において、エロボアムの治世から始まる一連の悪王の一人でした。アハブ王は「主の目に、彼以前のだれにもまさって悪を行なった」(1列王記16:30)と記されています。アハブの生涯で記録された出来事の中で、彼の没落につながったのは、神の民に対して特に憎しみを持っていたイゼベルという悪女との結婚でした(1列王記18:4)。異教の女性と結婚したため、アハブはイスラエルにおいて偽りの神々バアルとアシェラの礼拝に身を捧げました(1列王記16:31–33)。
アハブ王の悪は、預言者エリヤによって対抗されました。エリヤはアハブに、主に従わなければ来るべき裁きを警告しました。アハブはエリヤを非難し、イスラエルに災いをもたらしたとしました(1列王記18:17)。しかし、真の原因はアハブが偶像礼拝を推進したことでした。それが3年半にわたる飢饉の真の原因でした(18節)。エリヤとアハブの偽預言者たちとの劇的な対決の中で、神はイスラエルに、バアルではなく、自分こそが真の神であることを証明しました(1列王記18:16–39)。その日、アハブのバアルの預言者たちは全員殺されました(40節)。
アハブ王はまた、アラムの王ベン・ハダデを滅ぼすという主の直接の命令に従いませんでした。神はアハブがイスラエルを勝利に導くように仕向けましたが、アハブは殺すべき王と条約を結びました(1列王記20)。「それゆえ」と神は無名の預言者を通してアハブに告げました。「あなたの命は彼の命に代わり、あなたの民は彼の民に代わる」(42節)。
アハブの運命を決定づけた出来事は、無実の男を殺害したことでした(1列王記21)。アハブはナボテという男の所有するぶどう畑を欲しがりました。王はぶどう畑を買おうとしましたが、ナボテは律法で売ることが禁じられていたため、それを拒みました(1列王記21:2–3; レビ記25:23参照)。アハブが宮殿でそれを悔しがっている間、彼の妻はナボテを殺す手配をしました。ぶどう畑の所有者がいなくなると、アハブ王はその畑を自分のものにしました。エリヤはアハブのもとに来て、主が彼のすべての子孫を断つことで彼を裁くと告げました。また、アハブ自身も不名誉な死を迎えることになると言いました。「犬がナボテの血をなめたその場所で、犬があなたの血をなめる。そう、あなたの血を!」(1列王記21:19)。これを聞いたアハブは「衣を裂き、粗布を身にまとい、断食した。彼は粗布を身にまとい、ひそかに歩き回った」(27節)。アハブの悔い改めに応えて、神は慈悲深くもアハブの王朝の滅びを彼の死後まで延期しました(29節)。
エリヤが預言したアハブに対する裁きは、その通りに実現しました。神はアハブ自身の偽預言者たちを使って、彼をラモテ・ギルアデでの戦いに行かせました。そこで彼は「偶然の」矢に当たり、戦車の中でゆっくりと出血多量で死にました。後に「彼らはサマリヤの池(遊女たちがそこで身を洗う所)で戦車を洗ったが、犬が彼の血をなめた。主の言葉のとおりであった」(1列王記22:38)。アハブの死後、エフーはイゼベル(2列王記9)とアハブのすべての子孫を殺しました(2列王記10)。
アハブ王は、主の直接の命令に従わず、イスラエルの王としての責任を乱用し、神の民を偶像礼拝に導いたため、神によって正当に裁かれました。結局のところ、「アハブのように、主の目に悪を行うために自分自身を売り渡した者は、彼以前にはだれもいなかった。彼の妻イゼベルにそそのかされて、彼は最も卑しい行ないをし、偶像に従った」(1列王記21:25–26)。